見積積算システムの特徴と使い方
積算ソフトの基本的な特徴、メリットを解説してあります。
1.はじめに
電気工事業において、実際の工事を受注する前に行うのが電気工事積算(見積提出)であるが、得意先との信頼を形にする上でも誤りがなく、見た目にも美しい見積を提出すべきである。
しかしながら、いくら正確で見た目も綺麗な積算見積が大事と言っても、作成作業に必要以上の時間を掛けることも好ましいとは言えない。
なぜならば、実際に提出した見積が受注するとは限らず、また、限られた時間の中で作成しなければならないからだ。案件によっては、即日の提出を求められることもあるだろう。
見積の作成方法には、パソコンの普及した現在、表計算ソフトやワードなどのオフィス文書作成ソフトを使用して作成することもあるが、専用の見積積算ソフトを利用することもある。
今回は、一般的な作成方法と専用ソフトを使った場合の違いを今一度見直し、見積積算ソフトを利用するメリット、その特徴と基本的な使い方を解説する。
2.表計算ソフト等で作成する場合の問題点・課題
表計算ソフトでは、自由に作成できる半面、正確性や根拠、社内統一を行っていく上ではいろいろと問題が出る場合がある。
以下、表計算ソフト等で作成する場合の問題点と積算ソフトを利用した場合の解決方法を対比しながら列挙する。
@入力ミス、入力の手間
表計算ソフトでは、明細を積み上げ入力する際には、積算実務マニュアル(全日出版)や社内で独自に作成した積算資料を目で見ながら、手入力を行わなければならない。 積算ソフトでは、予め主な資材が登録されており、選択するだけで簡単に入力が可能である。 資材は、資材名・規格・歩掛・金額・掛け率などが登録されているので、極端に言えば資材を選択するだけで、自動的に見積が完成する。
A計算式間違いのリスク
表計算ソフトを使用した場合には、金額の計算式を自分で作成することになる。
電気工事見積では単純な資材単価の掛け算・足し算だけではなく、電工費や各種費用の計算、補給率や付属品の計算などを行う。また、工事項目単位に作成した見積と鑑の作成、値引きなどの計算式も入れるため複雑になりやすい。
これらの計算式を正しい結果を出すよう作成、確認しなければならず、また、行の追加や削除、その他操作により、計算式が壊れてしまうリスクが伴う。
見積積算ソフトでは計算式はプログラミングによるもので、扱われるデータはデータベースに格納されている。当然、テスト検証をした上で販売されているため、計算式間違い等のリスクがなくなる。
B統一性の難しさ
表計算ソフトでは、書式を自由に変更できるため、作成していく中で書式が変わっていってしまったり、複数人が見積をしている場合、各自で自由に変更してしまう場合が多く、会社としてフォーマットの統一を図ることが難しい。
見積積算ソフトでは、常に統一された作成方法の中で見積が作成され、フォーマットの維持、統一性が保たれる。
LAN環境では、各自がそれぞれのパソコンから見積作成を行うことができるが、同じデータベースにアクセスして作成することができる。この為、見積の見た目、内容ともに統一化を図り易い。
Cデータ集計の難しさ
表計算ソフトでは見積を作成した後に、使用材料ごとに串刺しで数量や金額を一覧で出力したり、工事単位の粗利率を一覧表にしたりといった集計を行うには、高度な計算式の作成技術が必要である。
見積積算ソフトでは、見積作成中でも、作成後でもボタン一つで簡単に集計表を出力することが可能である。
Dデータ活用の限界
表計算ソフトはデータベースではないため、複数の見積の集計や、高度な一括変換、シミュレーション機能を実現することは非常に困難である。
3.見積積算ソフト活用の主なメリット
見積積算ソフトを活用するば、表計算ソフトの課題が解決され、次に上げるようなメリットを享受することができる。
@作成時間短縮
資材マスターから材料を選んでいくだけで見積を完成できるため、手打ち入力に比べ断然スピードアップが可能である。
電工費や補給率、付属品なども自動で計算される。(ソフトによるが自動計算の設定を変更することで自社にあった自動計算がされるようにすることが可能である。)
見積時間を削減し、営業時間や工事時間を増やすことで収益性の向上を図ることができる。
A過去見積の管理・検索の容易性
表計算ソフト等では作成した見積りには名前を付けて、年度や月ごと、或いは得意先ごとに分けたフォルダに保存するため、過去の見積りを参照したい場合に検索が困難である。
一方、データベースを使った見積積算ソフトではフォルダ分けして保存する必要がなく、検索キーワード、得意先、担当者、作成時期等で簡単に探すことが可能である。
B過去見積の再利用
データベースソフトで作られた見積積算ソフトでは、過去の見積を探すことが容易なだけでなく、新規作成時に、過去見積の一部や全部を取り込んだりすることも可能である。
また、再見積を行う場合には枝番で管理できるため推移を把握でき、整合性の取れた見積作成が可能である。
C見積の統一性
複数人で見積積算を行う場合でも、同じマスターを使用することが可能であるため、作成される見積は一定の基準を満たしたものを作成することが可能である。
D社内基盤の整備
見積積算ソフトの導入により社内基盤として仕組みを構築することが可能で、社員が入れ替わった場合や、次の世代(後継者・息子)にも引き継ぎがスムーズである。
D集計帳票出力
データベースソフトである見積積算ソフトでは、作成した見積から、材料一覧や工数や見積金額(粗利)等の一覧をボタン一つで瞬時に出力が可能である。また、実行予算帳票の出力もできるため、見積を作成した後、受注した後の作業効率を高めるられる。
E複合見積の作成
面倒な複合見積の作成も容易である。ソフトにもよるが、データベースソフトでは積上見積と複合見積を瞬時に切り替えが可能である。
F一括変更が容易
作成した見積を一括で金額修正できる。
「見積掛率」「補給率」「雑材」「付属品掛率」等を見積りごとに簡単に変更が可能である。また、電工費(労務費)の変更も容易である。
G高度なシミュレーションが容易
データベースによる見積積算ソフトでは様々なシミュレーションを簡単に行うことが可能であり、見積積算ソフトでは実用性の高い機能が提供されている。例えば次に列挙するような便利な機能が提供されている。
「見積掛率の増減」機能
作成後に、10%金額を増やす等が可能である。これらは、各材料に対して自動計算で按分して計算される。
「目標金額から逆算」機能
例えば見積作成した際に、\978,000だった場合に、\1,000,000ちょうどにすることが可能である。この場合、費用に按分して金額が自動調整される。
工事後に見積を指定金額で出し直ししなければならない場合などに便利である。
「金額シミュレーション」機能
原価金額、原価掛率、見積金額、見積掛率等を材料分類ごとに調整可能である。仕入先への価格交渉と客先への提出金額の両面から金額をシミュレーションしていくことが可能である。また、シミュレーション結果を確定すれば見積に反映させることも可能である。
「A材単価設定」機能
金額の大きいA材だけを抽出して原価・見積を変更できる。確定すれば見積にも反映できる。
これらの計算を自分で行うことは非常に困難であり、見積積算ソフトを利用するメリットである。
H表計算ソフト出力
表計算ソフト(エクセル)形式で見積を出力することが可能である。
メールで見積を送って欲しいということが多くなっているが、エクセルに出力できればメールで送ることが可能である。
I仕入先との見積連動
電材卸企業にて利用する見積システムと工事店向け見積積算ソフトの両方を開発・提供している場合には、電材卸企業の見積システムとの連動も可能である。
これにより、単価の一括取込が可能となり、物件見積など明細が多い見積の作成を効率化可能である。
(弊社では全国の電材卸企業向けの販売管理システム、見積システム、会計システム及び、工事店向け見積積算システムを一貫して提供しているため、業界を一気通貫する仕組みの提供も行っている。)
Jメーカー照明プラン取込
メーカー独自の照明プラン見積(エクセルデータの場合)を取込することで、より簡単に見積作成が可能である。
K複数人同時利用
クライアントサーバー対応している見積積算ソフトであれば、複数人が同時利用可能である。
L拾い出しソフトとの連動
拾い出しソフトとの連動が可能である。
4.拾い出しソフトとの連動で効率化
見積積算ソフト単体ではなく、拾い出しソフトとの連動で見積作業を効率化することが可能である。
拾い出しソフトとは、工事図面をパソコンに取込を行い、マウスで拾い出しを行うソフトであるが、パソコン上で拾い出しを行うため、見積積算ソフトに取込することが可能である。
5.拾い出しソフト活用の主なメリット
@拾い漏れの防止
拾い出しを行った部分は色線が残るため、拾い漏れを防ぐことが可能である。また、修正や削除・追加、材料の入れ替えなどが容易であり、正確な拾い出しを素早く行うことが可能である。
A計算ミス防止
手拾いの場合、拾い出した材料の数量をメモしていき、足し算を行わなければならない。大きな工事では間違いに繋がるリスクがある。
B見積ソフトへの転記ミス防止、手間削減
拾い出しを見積積算ソフトで行わない場合には、必ず入力を行わなければならない。このため、2度手間となり、転記ミスのリスクもある。ソフトを利用すれば、拾い出しが完了したら取込を行うだけで見積が完成するため、手間の削減、転記ミスの防止に効果的である。
C作業分担
拾い出し作業は時間の掛る作業であるため、社内で分担して行える体制を作っておくことが肝要である。
また、基本的な拾い出しであれば、パート社員でも教育次第で可能である。
弊社ユーザーにもこの試みに取り組み成果を出し始めているユーザーもある。
D時間効率化
案件の発生から拾い出し、見積作成の一連の業務全体を効率化可能である。これにより、工事や営業などに時間を再配分可能となり、営業効率全体を向上させることが可能である。
6.おわりに
以上、見積積算ソフトの基本的な特徴と使い方を記載したが、導入に当たってはまずは詳しい資料で事前に精査をしておくことが望ましい。
また、ソフト提供会社の継続性やサポートなども含めて検討されたい。
本記事に関連する詳しい資料は下記にて無料ダウンロードできます。
見積積算ソフト資料
http://www.intecrece.co.jp/software/estimate_k2lite/index.html
「k2lite」で検索するとTOPに出ます。
※記載された社名および製品名/サービス名は各社の商標または登録商標です。
文責:
株式会社インテ・クレッセ
積算ソフトチーム 藤田 堅索
株式会社インテ・クレッセ
電材卸会社向けの基幹システムで約20年の実績を持つシステム開発会社です。
積算ソフト部門では、電気工事業界ノウハウを総合した『電気工事店様向け積算ソフト K2lite(K2ライト)』を開発しております。
【会社概要】
※詳しくは弊社HPをご覧ください。
株式会社 インテ・クレッセ
【本社】
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